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茨城大学農学部 地域環境科学科 地域資源計画学研究室

小林研究室 kobayashi lab.

茨城大学農学部 阿見キャンパス

研究活動2ACTIVITY2

環境省・環境研究総合推進費・採択課題,2012〜2014年度

再生可能エネルギー需給区連携による『もたせ型』分散エネルギー・システムの開発



サブテーマ4 開発・運営主体の形成と評価

 
  サブテーマ4は、『もたせ型』分散エネルギー・システムのデザインにあたって社会経済的観点から必要とされる事項を調査検討しています。

  • 1.再生可能エネルギー導入に伴う地域経済の変化


 再生可能エネルギーの普及に伴い、どのような地域経済の変化が起きるかを具体的な地域を設定して検証しています。

@  電力(発電、消費)


 遠く離れた大型の発電所(火力、水力、原子力等)から届く電気を、地域内の再生可能エネルギーに置き換えるということは、消費者から生産&消費者になることであります。当然ながら地域に及ぼす経済波及効果は大きくなります。  この研究では、電力の固定価格買い取り制度(FIT)での売電に力を入れた考え方に立つのではなく、FIT終了後の時代を見越し、地域内消費を基本として、余った分や足りない分を近隣エリアで融通しあい、自立した地域となる『もたせ型』のデザインを想定しており、サブテーマ1〜3との連携、調整のうえ、その経済効果を導き出していきます。


A  電力(維持管理)

 現在の送電、配電網(国内の大手電力会社)は、“大きな経済域”の上で運用されており、再生可能エネルギーが拡大しても、運用形態に大きな変化はありません。したがって、現状では、地域に生み出す経済効果は限定的であると言わざるを得ません。しかし、地域の送電、配電インフラの所有・管理を地域事業体が主体的に担うことができるようになれば、状況は大きく変わることが予想されます。そのために、現段階では、現状把握をベースに、その潜在的な発展可能性を検討していきます。

B  熱(化石燃料など)

 熱利用には、給湯のほか、暖房、調理があり、これらを既存のエネルギーから再生可能エネルギーにシフトさせる想定として、電化(IH調理、電気ヒーターなど)、森林バイオマス利用、太陽熱利用があげられます。
 これら再生可能エネルギーの普及に伴う経済効果として、プラスとマイナスの側面が見受けられます。
 プラスの効果としては、薪などの森林バイオマス利用により、地元森林関係への潤いや、薪、チップなど搬出や加工や運搬増による雇用の増大が見込まれます。
 マイナスとしては、地域内の化石燃料店の売り上げ減少に伴う事業縮小や雇用減があります。このマイナスをプラスが補うことができれば、域内の経済循環を高めることができるのではと考え、アンケート等により、このあたりの実際的な数字の積み上げをおこないました。

  • 2.「もたせ型」における再生可能エネルギー事業の担い手の要件

 先行研究のサーベイおよび現地ヒアリング等を通じて、再生可能エネルギーに関わる事業組織の一般的な要件については以下7点を充足することが望ましいことが確認されました。

・ 地域住民の多くがエネルギーの供給事業に参加し得る組織とする。
・ 事業体の意思決定は、地域住民の意向を反映できる仕組みとする 。
・ 事業による便益の大部分(あるいはすべて)が地域に還元される(一部は、より困難な 条件の地域への支援として位置づける考え方もある)。
・ 事業による便益は大部分を不分割とし、地域における暮らしの向上(雇用創出含む)に活用できる仕組みとする。
・ 事業に関わる日常的な業務運営(有償)にも、地域住民が優先的に関わる仕組みとする。
・ 意思決定において、構成員は対等平等な権限を有する仕組みとする。
・ 自治体との連携を容易とする公共性の高いものが望ましい。


  • 3.上記を満たす事業形態の検討

 しかしながら、日本においては上記を満たす事業組織として、特定の法人形態を挙げることが困難であることが、各法人形態を検討する中で、明らかとなりました。そこで、既存の法人形態の、実際の活用方法を参照するとともに、より上記条件の充足をはかりやすい事業組織及びその事業を支える制度環境等についても提案していきます。

  • 4.欧州法制度のポイントと日本への示唆


 あわせてEUにおける2カ国の取り組み(ドイツ、イタリア)およびその制度環境の調査によって、上記提案を形成する上での示唆を得ることとします。
 

図 ドイツ・イタリアの協同組合法制度から見た日本の制度検討の方向性



小林研究室 (地域資源計画学研究室)

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